TVで気になったグラフ添削(1)
◆下記で説明をしているVIZはpublicにあります。
https://public.tableau.com/profile/ken.endo#!/vizhome/27583/sheet0
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私の家政婦ナギサさんというTBSのテレビドラマを録りためていたので1話から見始めたんですが、MR(医薬情報担当者)の主人公が会議に参加しているシーンでこんなセリフと共に画面に写ったものが気になってしかたなく添削してみました。
成績不振になっている関東エリアのシェア分析をしているシーン。。。
マネージャーらしき人のセリフ
「納入実績の減少には複数の原因が考えられるが、なかでもアーノルド製薬のオリビンがシェアを伸ばしていることが大きい」
気になるところが大きく3つくらいあります。
その1.一断面しか見ていない。
シャアを伸ばしている・・・と言ってるのに、現状の一断面のデータしかないから本当に伸ばしてきているのかしら?という話です。ただ、そこは今回スルーしましょう。前向きに推測するに、この辺の数値は暗黙値のような共通認識があり、この一断面のデータを見ただけで、「オリビン伸びてるなー」と分かる人々なのでしょう。
その2.割合しか見ていない。
割合でしか見ていないため絶対値がここからは読み取れず、本当にこのデータから納入実績の減少が言えるのか不明です。ここもその1と同じく各都道府県のボリュームと毎月の変動具合について暗黙値の共通認識があるのだろう、と捉えますか。
で、本題として取り上げるのが次。
その3.このグラフだめじゃね?って話
なぜかこの数値は足しても100%にならない不思議ちゃんグラフです。シェアの数字は市場全体(この例では都道府県)を100%としたものなのに、構成比のグラフはオリビンのアギサルの2社分しかない。。。
これだと競合のオリビンと自社のアギサルの2製品だけでシェア比較をしていて、市場シェアの状況をグラフが正しく示していないので、第三の存在意識が手薄になってしまいますね。別の話として、グラフの大きさとラベル数字がリンクしてなくて見る側も混乱してしまいます。(オリビンの神奈川は37.9%で埼玉は43.5%なのに、グラフの大きさは逆になっている、など)
なお、このシーンは数秒くらいしか写らないのですが、最初なぜマネージャーの人がこのVIZを見て、「オリビンのシェア伸び(≒シェア増加)」と言えるのか分かりませんでした。よくよく見るとシェアが大きい方がフォント色が赤になっていて、それを見て瞬時にあの答えを導いているのかなと想像します。
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文句だけ言っても何なので、自分だったらこうするかなって添削をしてみます。まずは適当なデータを作ってTableauで再現するところから始めてみる。

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てはじめに、市場全体を見えるようにするところから。こんな感じ。こうすると、千葉や神奈川あたりは「オリビンに気を取られて意識出来てなかったその他」が結構大きなシェアであることが分かります。この市場では、本当にオリビンだけを競合として捉えるのが妥当なの?って感じがしちゃいますよね。他もそうなんだけど、特にこの市場については。
あと日本語にあわせると「オリビンの台頭」ということで左側にオリビンがいても妥当かな?とも思うけど、さすがに「その他」を入れると自社が左側にいて欲しい感じがします。

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あとは、横棒グラフで構成比を示すと、アギサルとオリビンの比較はしにくいので、こんな感じで変えてみるといいですかね?アギサル基準でリファレンスラインを引っ張っているのと、アギサルvsオリビンの結果が〇×で分かるようヘッダに表示してみる。

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↑みたいに1画面に収めようと思うと、どうしても縦棒グラフは潰れ気味で量的な差が比較しにくいので画面の有効利用って意味では横棒グラフにする方がいいかな。。。

如何でしょう。
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いくつまで続くか分からないけど単発で終わらせない意気込みでその1にしてみた。
最近だと頻出するコロナ関連のデータとかもそうだけど、詐欺グラフとは言わないまでも色々と添削したくなるものが盛りだくさん。計算ドリル的に触るのにいいなぁ~と思う今日この頃。
以上です、ここまでお読み下さりありがとうございました。